リスクリワードレシオ・期待値・勝率の計算方法まとめ

この記事では、リスクリワードレシオ(損益比率)と、損益の期待値と、必要勝率(期待値をプラスにするために必要な勝率)の3つを計算する方法を説明します。

3つとも、有利なトレードを行う際に使える便利な指標たちです。

リスクリワードレシオ

リスクリワードレシオとは、その名の通りリスク(損失)とリワード(利益)の大きさの比率のことを言います。

日本語では損益比率と呼ばれます。

リスクリワードレシオの計算方法

リスクリワードレシオは下記の計算式で求められます。

勝った場合の利益 ÷ 負けた場合の損失 = リスクリワードレシオ

上記式の利益と損失にはどちらも正の値を使います。したがってリスクリワードレシオは0以上の値を取ることになります。

リスクリワードレシオの計算例

リスクリワードレシオの計算例をいくつか紹介します。

例1.金額で計算(1回のトレード)

まずは金額を使ってリスクリワードレシオを計算する例です。

あるトレードで想定される利益が20,000円、想定される損失が10,000円の場合、そのトレードのリスクリワードレシオは

20,000円 ÷ 10,000円 = 2.0

となります。

例2.pips数で計算(1回のトレード)

pips数でリスクリワードレシオを計算することもできます。

あるトレードで想定される獲得pips数が30pips、想定される損失pips数が20pipsの場合、そのトレードのリスクリワードレシオは

30pips ÷ 20pips = 1.5

となります。

例3.過去トレードで計算(複数回のトレード)

過去に行った複数回のトレードからリスクリワードレシオを計算することもできます。複数回のトレードの場合は、トレードごとにロット数が異なる場合があるので、pips数で計算すると計算が簡単になります。

まず先に、過去のトレード結果から、「勝ちトレードの平均獲得pips数」と「負けトレードの平均損失pips数」を計算します。そしてそれらの比でリスクリワードレシオを計算します。

例えば過去トレードのうち、勝ちトレードの平均獲得pips数が15pips、負けトレードの平均損失pips数が20pipsの場合、リスクリワードレシオは

15pips ÷ 20pips = 0.75

となります。

例1~3の使い分けとしては、これから行うトレードのリスクリワードを調べるには例1または例2で計算し、過去の自分のトレードの傾向を調べるには例3で計算をします。

リアルデータでの計算例

下の記事は、私のリアルトレードの履歴を使って例3のリスクリワードレシオを計算したものです。読んでいただくと計算のイメージがつかめると思います。

自分のトレードの振り返り方(傾向分析・改善方法)

リスクリワードレシオ自体は、損失と利益の比率を表すだけのものなので、この値だけではあまり使い道はありません。しかし以下で説明する期待値や勝率と組み合わせて使用することで、リスクリワードレシオは非常に便利で重要な値となります。

期待値(損益)

損益の期待値は、トレード1回あたりの損益の平均値のことを意味します。

統計・確率の観点からは、損益の期待値がプラスの場合はトレードをすればするほど資産は増えていき、逆に損益の期待値がマイナスの場合はトレードをすればするほど資産は減っていくと考えられます。

従って、自身のトレードを期待値がプラスになるように設計することが大切です。

期待値の計算方法

損益の期待値は、勝った場合の利益・負けた場合の損失・勝率を用いて以下の式で計算できます。

勝った場合の利益 × 勝率 – 負けた場合の損失 × (1 – 勝率) = 損益の期待値

式からもわかるように、損益の期待値を上げるには「勝った場合の利益を大きくする」「勝率を高くする」「負けた場合の損失を小さくする」をバランスよく行うことが必要となります。

期待値の計算例

損益の期待値の計算例をいくつか紹介します。

例1.これから行うトレードで計算(1回のトレード)

これから行う1回のトレードの計算例です。

これから行おうとしているトレードにおいて、利確の場合の利益が20,000円、損切の場合の損失が10,000円、想定される勝率が40%の場合、そのトレードの損益の期待値は

20,000円 × 0.4 – 10,000円 × (1 – 0.4) = 2,000円

となります。

例2.過去のトレードで計算(複数回のトレード)

過去に行った複数回のトレードから損益の期待値を計算することもできます。

まず先に、過去のトレード結果から「勝ちトレードの平均利益」と「負けトレードの平均損失」と「勝率」を算出しておきます。それらの値を使って期待値を計算します。

例えば過去トレードにおいて、勝ちトレードの平均利益が15,000円、負けトレードの平均損失が10,000円、勝率が45%であった場合、損益の期待値は

15,000円 × 0.45 – 10,000円 × (1 – 0.45) = 1,250円

となります。

注目していただきたいのは、上記の2つの例はどちらも勝率が50%より低いにもかかわらず期待値がプラスであるという点です。これは、勝った場合の利益が大きく、負けた場合の利益が小さい、つまりリスクリワードレシオが高いためです。

言い換えると、リスクリワードレシオを大きくするほど、期待値をプラスにするために必要となる勝率は低くなるとなります。

では「期待値をプラスにするために必要となる勝率」の計算方法を次に説明します。

期待値をプラスにするために必要となる勝率

ここでは、「損益の期待値をプラスにするために必要となる勝率」のことを「必要勝率」と呼ぶことにします。(単に長いので便宜上そう呼ぶだけです。一般的なFX用語ではありません。)

必要勝率の計算方法

必要勝率は、リスクリワードレシオを用いて以下の式で計算することができます。

必要勝率 = 1 ÷ (リスクリワードレシオ + 1)

例えばリスクリワードレシオを1.0とすると、必要勝率は0.5、つまり50%と計算できます。

必要勝率の計算例

いくつかきりのいいリスクリワードレシオをピックアップして必要勝率を計算した結果が下の表です。

リスクリワードレシオ 必要となる勝率
3.0 25.0%
2.5 28.6%
2.0 33.3%
1.5 40.0%
1.0 50.0%
0.5 66.7%

例えばリスクリワードレシオが0.5の場合、必要勝率は66.7%ですので3回中2回以上勝たねばなりません。かなり精神的プレッシャーがあると思われます。

それに対して、リスクリワードレシオが3.0の場合の要勝率は25.0%です。4回中1回以上勝てばよいため、比較的楽な気持ちでトレードができます。

リスクリワードレシオの大きいトレードは、心理的に有利だと言えそうですね。

また、本記事では説明していませんが、バルサラの破産確率では、リスクリワードレシオを大きくすることで破産確率を下げることができると導き出されています。

MT4でリアルタイム計算

この記事で説明したリスクリワードレシオや必要勝率、損益などをリアルタイムで簡単に計算できるMT4ツールを作りました。私が実際のトレードで使っているものです。MT4をお使いの方はぜひ試してみてください。

→『MT4 ライントレード攻略ツール(Mi_LineTrader)

まとめ

この記事では、リスクリワードレシオ、損益の期待、期待値をプラスにするために必要な勝率、を計算する方法を説明しました。

これら3つはお互いに関連しているので、まとめて考えると理解が深まります。

私の経験では、適当なトレードしていると大抵リスクリワードレシオは1.0以下になってしまいます。

意識してリスクリワードレシオの高いトレードをしていきたいですね。

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