誰も教えてくれなかった!グランビルの法則の本当の仕組みとトレードへの応用方法

「グランビルの法則は勝てない。」

そう感じている人は、使い方を間違えている可能性があります。仕組みを理解してコツをつかめば、グランビルの法則はとても有効に機能します。

この記事ではグランビルの法則の「仕組み」と使用時の「コツ」を説明します。初心者だけでなく、トレード中級者にもきっと新しい発見があるはず。

ではどうぞ。

グランビルの法則とは?

グランビルの法則とは、アメリカ人のグランビルさんが開発した移動平均線(MA)を使った相場の法則であり、同時にトレード手法でもあります。

※このへんの説明は要らないですね。省略。

8つのエントリータイミング

グランビルの法則には8つのエントリータイミングがあります。(下図)

グランビルの法則

↑グランビルの法則で示されている8つのエントリータイミングです。この分かりやすさがグランビルの法則を有名にしたのでしょう。

買いタイミングと売りタイミングはそれぞれ4つ。鏡のように上下反転させると、売りも買いも同じタイミングを指していると分かります。

これら8つのタイミングはチャートに頻繁に現れます。なにはともあれ、トレードするなら丸暗記必須です!

ポイント エントリーポイントの説明
買い① 移動平均線が横ばいまたは上向きの時に、レートが移動平均線を上に抜けたタイミング
買い② 移動平均線が上向きの時に、レートが一時的に移動平均線を下回ったが、再度上に抜けたタイミング
買い③ 移動平均線が上向きの時に、レートが移動平均線に近づき、移動平均線を割ることなく反発して上昇に転じたタイミング
買い④ 移動平均線は下向きだが、レートが移動平均線から大きく乖離したタイミング(ただし短期売買限定のポイント)
売り① 移動平均線が横ばいまたは下向きの時に、レートが移動平均線を下に抜けたタイミング
売り② 移動平均線が下向きの時に、レートが一時的に移動平均線を上回ったが、再度下に抜けたタイミング
売り③ 移動平均線が下向きの時に、レートが移動平均線に近づき、移動平均線を超えることなく反発して下落に転じたタイミング
売り④ 移動平均線は上向きだが、レートが移動平均線から大きく乖離したタイミング(ただし短期売買限定のポイント)

おすすめのエントリータイミングは「買い②」と「売り②」です。大きなトレンドが始まって間もないタイミングですので、その後の伸びしろに期待ができます。

次のおすすめは「買い③」と「売り③」です。移動平均線を目安に、視覚的にも分かりやすいタイミングです。ただしすでに相場が過熱気味になっている可能性もあるため、いつでも逃げられるように心の準備をしておきましょう。

その次は「買い①」と「売り①」です。ここは大きな波の反転の初動にあたります。うまくエントリーできれば最も伸びしろが期待できます。ただしダマしが発生しやすい場所でもあるため、チャート分析がしっかりできる人向けのポイントです。

買い④」と「売り④」は短期売買限定です。ここはタイミングを取るのが難しい上に、利幅もあまり期待できないため、エントリーはオススメしません。


さて、よくあるグランビル法則の説明はここまでですが、この図だけでグランビルの法則を使うと失敗します。グランビルの法則を使うには、その仕組みを理解する必要があります。

その仕組みとは? 以下で説明します。

グランビルの法則の仕組み

グランビルの法則のキモは、移動平均線にあります。

そもそも平均値は「ばらつきはあるけれど一定の範囲に集まっている値の集団」の代表値を知りたい時に使われます。例えば「日本人の平均身長は160cm」などですね。

FXでも平均レートを使いますが、直近レートだけでは平均値を出すにはデータ数が足りないため、過去レートも使って算出します。これが移動平均線です。

過去のデータも使って平均値を算出しているため、価格レートが本来持っている分布(ここでは「真の分布」と呼びます)よりも、移動平均線は少し遅れて現れる曲線となります。

グランビルの法則の仕組みは真の分布への回帰タイミング

↑先ほどの図に、黄緑色で「真の分布」を追加したものです。真の分布に対して、移動平均線は少し遅れて現れることが分かります。

さて、この図にはポイントが2つあります。

  1. 【レートの回帰】
    価格レートは上図のように「真の分布」の付近を推移します。価格レートが真の分布の中心から離れると、真の分布の中心に回帰しようとする動きになります。
  2. 【位置関係】
    真の分布と移動平均線の位置には次の関係があります。移動平均線が上向き時は真の分布≧移動平均線となり、移動平均線が下向きの時は、真の分布≦移動平均線となります。

2を言い換えると『移動平均線の向きを見れば、真の分布が移動平均線の上下どちらにあるかが分かる』ということです。そしてレートが真の分布の方へ回帰する性質を考えれば、レートが移動平均線の上へ向かうのか下へ向かうのかが推測できます。つまり売買方向は機械的に決まるということです。あとはレートと移動平均線のクロスなどでタイミングを計ればトレードできるという仕組みです。

このように、グランビルの法則の仕組みは、価格レートが真の分布の中心へ向かって回帰する「方向」と「タイミング」を移動平均線を用いて知るというものです。

移動平均線一本だけで、よくこんなシンプルで美しい法則・手法に仕上げたものです。グランビルさんすごいですね!

例えば買い②の場合

例えば買い②の場合、移動平均線は上向きですので、真の分布は移動平均線の上に位置します。価格レートは一時的に移動平均線を下に割り込みましたが、真の分布は移動平均線の上にあるので、レートが戻ってくるのを少し待ちます。そしてレートが移動平均線を再び上抜けたタイミングを回帰のタイミングだと判断して買うという筋書きです。

その他のエントリータイミングはご自身で考えてみてください。グランビルの法則を「なるほど」と理解できると思います。

この仕組みを理解しておくと、実際のトレードでグランビルの法則を使うときに注意すべきコツが見えてきます。そのコツを以下で説明します。

グランビルの法則で勝つコツ

グランビルの法則で勝つコツは、「正しい移動平均線の期間を選択する」ことです。下図を見てください。

グランビルの法則と移動平均線の期間

↑グランビルの法則が機能している図(○)と、機能していない図(×)です。

○と×の図の違いは、移動平均線に使用している期間です。先に説明したグランビルの法則の仕組みが機能するには、レートの真の分布と移動平均線の形状が一致していなくてはなりません。

もう一度図を見ると、○の図は、真の分布と移動平均線の形状が同じ山形をしています。一方で×の図は、移動平均線の変動が細かすぎたり、緩やかすぎたりして、レートの真の分布とは形が一致していません。

×の図のように、移動平均線の期間が正しくないと、移動平均線の形状と真の分布の形状が一致しなくなるため、グランビルの法則を使うことができません。

グランビルの法則を使うには、移動平均線が正しい形状を描くように適切な期間を選択することが重要です。

この例は少し極端に描いてありますが、実際の相場はもっとあいまいで適切な期間の選択は難しくなります。

おすすめの移動平均線の期間は?

ではグランビルの法則では移動平均線の期間をいくつにしたら良いのでしょうか?残念ながら、グランビルの法則で使える固定の期間はありません

「20期間が良いと聞いた。」「50が良いと聞いた。」という人は、それを鵜呑みにしたら負けますのでご注意を(※)。

相場のトレンドを把握するためだけであれば、20期間や50期間などで十分役に立ちます。しかしグランビルの法則は、エントリーのタイミングを計るために使用します。ですので、いい加減な期間を使うとエントリーの方向やタイミングを確実に見誤ります

※:補足

市場参加者はいろいろな時間足や各種のトレード手法を使っています。また、その時々によって、参加者が重視するものも変わってきます。相場はそれらの様々な思惑によって形成されるため、固定の移動平均線の期間が機能し続けるというのには無理があります。さらに、最近はAIトレードも増えているでしょうから、「人間が使いやすい固定の期間」の重要性は以前よりも薄れていると考えられます。

最適な移動平均線の期間を探そう

グランビルの法則で使う移動平均線の期間は、チャートを見て自分で探すしかありません。探し方はズバリ!「いろいろ変えてみる」です。

実際のチャートで見てみましょう。下図は、2018年12月11日頃のドル円1時間足チャートです。移動平均線の期間を5070100と変えて3つの図を用意しました。

移動平均線の期間50のチャート

↑移動平均の期間50のチャートです。なんとなくグランビルの法則でトレードできそうに見えます。しかし、いざリアルタイムでトレードしようとすると絶対に売買の方向またはタイミングを誤ります。頭の中でトレードを想像してみてください。ね、ダメでしょ。

移動平均線の期間70のチャート

↑移動平均の期間70のチャートです。一般的によく使われる期間ではありませんが、グランビルの法則のエントリータイミングをほぼ的確に知ることができます。(この通りトレードしていたらウハウハですね。)

移動平均線の期間100のチャート

↑移動平均の期間100のチャートです。このチャートではグランビルの法則でエントリータイミングを計るのは完全に無理ですね。


少し(かなり?)面倒ですが、上の3つの図のように、移動平均線の期間を順に変えて、チャートに最もしっくりする値を探しましょう。この記事の最初にお見せした、グランビルの法則の図を頭の中にイメージすると探しやすいと思います。

適切な期間を見つけることができれば、グランビルの法則はエントリータイミングを見事に教えてくれます。

【追記】移動平均線の期間を簡単に変えられるインジケーターを作りました。グランビルの法則にしっくり合うMAを簡単に探せます。詳しくは下の記事

まとめ

この記事では、グランビルの法則の仕組みと、グランビルの法則を使う際のコツを説明しました。

ここでは移動平均線の期間に注目したコツを説明しましたが、それ以外にも、他のチャートパターンと組合せるのも有効です。少し話が広がりすぎるため、そのあたりはまた別の記事で。

それでは、良いトレードを!

コメント

この記事へのコメント(2 件)

  • コイゾーさんより

    70ですね!誠にありがとうございます。参考にさせて頂きます。

  • 管理人ですさんより

    コイゾーさんへ
    コメントありがとうございます。
    一応誤解が無いように補足しますと、常に期間70が適切というわけではないです。本ページの意図は「最適な期間は常に変化し続ける。だからトレード時に最適な期間の値を探しましょう」という一つのアイデアです。